「守ってあげたい! 子どものお肌」


高橋皮膚科 高橋 秀東


 まず皮膚の構造(表皮,真皮,皮下組織),そして機能(体外保護作用《機
械的な外力を防ぐ,水分の内部侵入を防ぐ,表皮は酸性で細菌・真菌の侵入を
防ぐ,物理的・化学的刺激を防ぐ,体液の喪失を防ぐ,光線の防御》,体温調
節作用,知覚作用《触覚,痛覚,温覚,冷覚》,分泌排泄作用《エクリン発汗,
アポクリン発汗,脂腺》,合成作用《コレステロール,ビタミンD3》,呼吸
作用,吸収作用《経皮吸収》)について説明を行った。

 続いて新生児,乳児の皮膚の特性(母親から貰っているホルモンの影響で特
に脂漏部位などでは皮脂の分泌は多いが,母親のホルモンが代謝されるにした
がって皮脂量はかえって減少してくる。また頚部や腋窩,肘窩,鼠径部などの
くびれている部位は皺が深く汚れが残り易いなど),これから生じる乳児脂漏
性湿疹,おむつ皮膚炎,カンジダ症等にならない為のスキンケア(洗い残しが
ないよう,特に脂漏部位やくびれている部位はよく洗う。洗剤が残らないよう
によく洗い落とす。ふき取る時はあまり擦らずはたくようにする。便や尿がい
つまでも付いていないようおむつ交換をするなど等)について話をした。

 次に表皮角層の水分保持機能(水分の蒸散防止機能《皮脂》,水分保持機能
《角質細胞間物質,天然保湿因子》),保湿のメカニズム,ドライスキンの病
態的意義に関して説明を行い,アトピー性皮膚炎を主とした乾燥性の皮膚に対
するスキンケア(色々な保湿剤に関することも含めて)の話をした。乾燥肌に
対するスキンケア(洗う,浸かる,塗る)は,平成18年2月号はちのへ医師会
のうごきNo.440の23ページに記載されてありますので割愛させて頂きます。

 その他アトピー性皮膚炎に対しての注意として,室内を清潔にし,適温・適
湿を保ち,皮膚に触れる下着や服・母親の着るもの等はなるべく綿製品(化繊,
羊毛品は避ける)とし,新しい肌着は使用前に水洗いする。洗剤はできれば界
面活性剤の含有量の少ないものを使用し,爪は短く切る。そしてダニ対策とし
て,床は出来るだけ板張り又はフローリングとし,布団や毛布などの寝具は天
気のいい日は日干しを行い,掃除機で埃を吸引する。枕や布団カバー,シーツ

は頻回に洗濯する。できれば防ダニ布団・防ダニシーツを使用。布製のソファー,
椅子,ヌイグルミはできるだけ置かない。室内には観葉植物は置かず,動物の
室内飼育もできるだけ避ける。掃除機はダニ用のフィルター,紙パック式のも
のを使用し,できれば毎日ていねいな掃除を行う。はたきやほうきは使わない。
掃除中および掃除がおわってもしばらくは部屋に入らないようにする。その他,
エアコン・暖房が湿度に及ぼす影響なども話し,その後7,8件の質問に答え
られる範囲で答え終了した。