「40歳からも輝ける女性であるために 〜更年期のからだと心の変化〜」
青森労災病院 片桐 清一
閉経は人生の折り返し点
月経が止まることを閉経と言います。日本人の閉経年齢は50歳前後です。初
経が11歳,閉経が50歳,平均寿命は86歳です。
ところが,40〜50歳まで生きた平均的な女性は90歳頃までは死にません。月
経が始まってから閉経までは40年,そして月経が止まってから死ぬまでの期間
も40年あります。
そして,死ぬ前に,要介護の期間が6〜7年,寝たきり状態も2〜3年,有
るはずです。
40歳頃から「90歳までピンピン生きて,コロリと死ぬコツ」の勉強を始めま
しょう。
月経は何のために有るのでしょうか?
月経は,成熟女性の健康の証(あかし)です。
女性ホルモンが充分に有ると月経が来ます。月経の有る女性は,暑さにも寒
さにも強い,骨が丈夫で,太りにくい(例外有り)。そして,月経の有る女性
は妊娠します。若い時には,毎月の月経を大切にして欲しいものです。
更年期とはいつのことですか?
40歳代に入ると,排卵機能,ホルモン分泌機能等の卵巣機能が低下します。
50歳代の閉経に至るまで,次第に卵巣機能が低下して,やがて卵巣機能を停止
します。
更年期はこのような変化が現れる45歳頃から,閉経を経て,心身共に安定す
る55歳頃迄の約10年の期間のことを言います。
更年期の身体の変化
最初に気が付くのは月経不順。月経周期が短くなったり,ダラダラ出血が続
いたりします。そして閉経を迎えます。
月経不順の始まりは,早い人で40歳代前半。閉経は50歳前後が多い。しかし,
55歳以上でも月経が順調な人がいます。
更年期の心の変化
妻として:夫婦間の葛藤,夫の疾病・失職
嫁として:舅・姑との人間関係,介護など
娘として:実家の父母の老後,介護,相続
母として:育児,躾,子供の進路,仕送り
女として:もし,別人と結婚していたら?
職業人として:職場での悩み,人間関係
更年期障害の諸症状
1.顔が火照る
2.汗をかきやすい
3.腰や手足が冷えやすい
4.息切れ・動悸がする
5.寝つきが悪い,眠りが浅い
6.怒り易く,イライラする
7.くよくよしたり,憂うつになったりする
8.頭痛,めまい,吐き気がよくある
9.疲れ易い
10.肩こり,手足の痛みがある
更年期障害の治療
原因治療,女性ホルモンの補充が原則です。女性ホルモン不足が原因で発症
した諸症状は,ホルモンの補充で劇的に治ります。
その他,漢方薬,精神安定剤も使います。
更年期を健康に過ごすための10か条(野末悦子博士の「女性の医学」より引用)
1.良い友達を作りましょう
2.パートナーと仲良くしましょう
3.子離れをしましょう
4.あるがままの人生を
5.身体を動かしましょう
6.生き甲斐を持ちましょう
7.おしゃれをしましょう(お肌のお手入れ)
8.健康診断を受けましょう(お股のお手入れ)
9.睡眠不足にならないように
10.食事も気を配りましょう