「すこやかな脳を守る 〜脳卒中の予防〜」
鈴木 一
現在,脳卒中は日本人の三大死因疾患の一つである。ひとたび発症するとた
とえ致命的とならなくても後遺症をもって余生を送ることとなり,高齢者の寝
たきり原因の第一位,約40%を占めており,患者本人のみならず介護家族の負
担を考えると高齢化社会を迎えその発症予防が重要課題となっている。
1960年代までは脳出血の方が多く約75%であったが,食生活の欧米化に伴い
1999年には脳梗塞が約63%と脳梗塞が増加している。
脳梗塞とはいっても全身動脈硬化症の一部分症状であり,加齢が大きな Ris
k Factor であることは間違いないが,動脈硬化の予防対策も重要である。
ここで,“脳卒中予防十か条”を示します。
1 .手始めに 高血圧から 治しましょう
2 .糖尿病 放っておいたら 悔い残る
3 .高すぎる コレステロールも 見逃すな
4 .お食事の 塩分・脂肪 控えめに
5 .不整脈 見つかり次第 すぐ受診
6 .予防には タバコを止める 意志を持て
7 .アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
8 .体力に 合った運動 続けよう
9 .万病の 引き金になる 太り過ぎ
10.脳卒中 起きたらすぐに 病院へ
t-PA による血栓溶解療法が適応になれば,脳梗塞の治療は時間との勝負に
なり,かかりつけ医を介さずに直接救急病院受診が必要となる。
脳卒中を防ぐ生活法について,
○冬と夏の血圧対策
冬の血圧対策 室内はこたつよりも全体暖房にする・廊下にでるときはガウン,
靴下をつける・外出のときは重ね着で空気の層をつくる・洗面,食器洗いは湯
を使う。
夏の血圧対策 のどが渇かなくても水分は多めにとる・暑い屋外から急にクー
ラーにあたらない・汗をかいても塩分の制限は守る・冷房の効いたところでは
上着をはおる。
○入浴・トイレ
入浴べからず集 熱い湯にいきなり飛び込まない・食後や飲酒後はすぐに入浴
しない・上がりぎわに水をかぶらない・汗がひかないうちに下着をつけない。
血圧を上げないトイレのくふう 便秘にならないように気をつける・和式トイ
レよりも洋式トイレを・夕食後は水分をとる量を控える・排便排尿をがまんし
ない。
○ストレス対策(ストレスをため込まない方法)
気分の切り替えをはやくする・好奇心を失わない・友人や家族と話す機会を
多くもつ・疲れたら無理せず休養をとる。
○仕事・通勤(血圧が高い人の仕事のしかた)
起床から午前 9 時まではゆっくりペースで・ 9 時から夕方 5 時までが働
きどき・昼食,休憩をきちんととり生活リズムを整える・深夜の帰宅は避ける。
○アルコール(血圧を上げない酒の飲み方)
1 日の量は日本酒 1 合にとどめる・塩分の多いつまみは避ける・付き合い
酒よりも気分のよい酒を飲む。
○運動の効用(健康づくりのための運動)
速歩は 1 分100mの速さで25分
以上いろいろと述べさせてもらったが,現在の社会では,すべてを行うこと
は到底困難と思われる。結局,ストレスと上手につき合いながら生活していく
ことが重要なのでは……