「ストレスと上手につきあうコツ教えます。」
上田 展久
1.ストレスとは
日常耳にする言葉にストレスという言葉があります。ストレスとは日常の生
活を通じて心身が受ける刺激(この刺激をストレス要因という)に対して起こ
る心身の変化や歪みの状態です。現代社会はストレスの社会といわれるように,
日常生活には様々なストレス要因が存在します。家庭では家事や育児疲れ,嫁
姑問題などが,職場では配置転換やリストラ,上司や部下との人間関係などが
あります。ストレス要因が心の病気に関係しているといわれていますが,それ
以外にもその人が持つストレスに対する抵抗力(個人要因)やストレス解消法
(緩衝要因)が関係しています。ストレスと上手に付き合うにはストレス要因,
個人要因,緩衝要因を上手に調整することが大切です。
2.日常生活とストレス
生活スタイルを工夫することでストレスを小さくすることができます。ここ
では,アルコール,睡眠,運動とストレスについてまとめます。一般にアルコー
ルはストレスを小さくすると誤解されていますが,実際はそうではなく,アル
コールによって不眠,依存,幻覚,痴呆などの状態になってしまいます。決し
てストレス解消のためにアルコールを飲まないようにしてください。また,ス
トレスが大きくなると不眠になることは良く知られていますが,逆に良い睡眠
習慣を持つことでストレスが小さくなるとも言われています。良い睡眠習慣の
条件として,就寝,起床時間を毎日一定にする,12時前に就寝する,寝酒をし
ない,寝る前に考え事をしないなどがあります。各自の生活スタイルに合わせ
て,可能な限りこのような睡眠習慣を持つと良いでしょう。最後に運動につい
て述べます。ストレス解消に運動が良いと言われていますが,過度の運動はス
トレスを大きくすることもあるので注意が必要です。ストレスを小さくする運
動は,30分から 1 時間程度,軽く汗をかく運動で,自分の好みや体力にあっ
た運動です。それを毎日無理なく行うと良いでしょう。ただし何らかの病気に
かかっている人は主治医に相談してから始めてください。
3.気分が不安定になる考え方
程度の差はありますが,誰でも嫌なことを経験すると嫌な気分になります。
嫌な気分が長く続くと気分が不安定になってしまいます。ところが嫌なことが
長く続いても気分が不安定にならない人もいます。これは考え方の違いによる
ものです。気分が不安定になりやすい人は気分が不安定になる考え方をしてい
ます。たとえば,道端で知り合いに会い挨拶しましたが,相手からは返事がな
かったとします。そのときに「私は嫌われている」と考えると悲しい気分にな
ります。ところが「気付かなかったのかな」と考えると悲しくはなりません。
状況は同じでも考え方が違うだけでその後の気分が変わってきます。気分を安
定させるコツは,どのような考え方でそのような気分になったのかを考え,そ
れ以外の考え方で気分が楽になる方法はないかと探してみることです。
4.ストレスをためないコツ
ストレスをためないコツは自分なりのストレス解消法を持つことで,そのス
トレス解消法を定期的に実践していくことです。ストレス解消法は人によって
異なるので,一般的な方法をいくつか試してみて,自分に合う方法を探すのが
良いでしょう。十分な睡眠と休養,適度な運動,一定の生活リズム,気分が落
ち着く考え方,良い人間関係,安心できる場所などがストレス解消に役立つと
されています。また心の病気かどうか迷った場合は専門医に相談することも大
切です。