「気をつけたい目の病気」
鹿内眼科医院 鹿内 祐樹
今回 は白内障、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症について講演しました。
白内障は50歳前後から発症し、70〜80歳代ではほとんどの方が白内障になります。
主な原因は加齢によるもので、点眼や眼鏡等でも霞や眩しい、ダブって見えるなど
の症状が軽減されず、それにより仕事や運転に支障が出た場合は手術を検討する必
要があります。
眼内レンズには単焦点レンズと多焦点レンズがあります。
単焦点レンズは近法または遠法のいずれかに焦点を合わせなければいけないため
眼鏡が必要になります。
多焦点レンズは近法と遠法の両方が見えますが、夜間の光の滲み(ハロー・グレア)
や光の明暗や色の濃淡を見分ける力(コントラスト感度)が低下することがあります。
どちらにもメリットとデメリットがありますので、主治医と術前に相談が必要です。
緑内障は中途失明の原因の第一位です。40歳以上に多い疾患で眼圧が正常な方にも
発症することがあります。
初期症状はなく,かなり進行してから視野障害に気付くことがあります。
健診や眼科受診した際に,眼底検査にて視神経乳頭陥凹拡大が見られた場合には
精密検査を受け、視野検査にて視野障害が認められたら緑内障と診断されます。
緑内障には開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障があります。その開放隅角緑内障の中に,
眼圧が正常なものもあり、正常眼圧緑内障と呼んでいます。
その正常眼圧緑内障が日本人に多いタイプとなります。
緑内障は完治・寛解する疾患ではなく,長期に渡る治療や管理が必要な疾患です。
治療の目的は視機能の維持となり,最も確実な治療法は眼圧下降です。
発症は防ぐことは困難ですが失明予防が可能です。そのため早期発見・早期治療が大事
になります。
治療法は点眼が基本となりますが,それでも効果がない場合にレーザー治療や手術
治療を併用することもあります。
糖尿病には糖尿病性腎症,糖尿病性神経障害,糖尿病性網膜症の三大合併症があります。
糖尿病網膜症は糖尿病患者の15~30%に見られます。高血糖状態により血管が損傷し,
血管が詰まり,出血するために起きる状態です。糖尿病の罹病期間が長いほど発症頻度が
高くなり,血糖コントロールが悪いほど重症化しやすくなります。治療の基本は血糖コン
トロールになります。
それでも抑えきれない場合は網膜光凝固術や硝子体手術などの手術加療が必要となること
もあります。
加齢黄斑変性症は原因がはっきりしていない疾患です。網膜の中心部にあたる黄斑部に
酸化ストレスが生じ,脈絡膜か血管内皮細胞増殖因子(VEGF)等が分泌され,ら網膜に向
かって新生血管が発生する結果,中心部の視力が失われる疾患です。
治療方法としては,光線力学的療法やレーザー光凝固術等もありますが,抗VEGF薬硝子体
内注射が主流となっています。
治療効果には個人差があるため,長期に渡って注射を継続する必要があり,中断すると元
の状態に戻ることもしばしばあります。
そのため根気強く治療を続ける必要があります。