「よく眠れていますか?睡眠と心の健康の関係」
八戸マナクリニック 岡田 元
こころの健康について〜こころと身体の関係〜
本日はこころの健康についてお話ししますが,「八戸市では8割の方が何か
ストレスを感じており,うつ病等や自殺予防の知識の普及啓発と共に,こころ
の健康づくりが必要です」と記載されています。こころの健康のために,まず,
以下の6つが大切です。
1)悩んだ時は誰かに相談します。
2)ストレスと上手に付き合い,コントロールします。
3)十分な睡眠や休養をとります。
4)友人や地域と交流を持ちます。
5)仕事と家庭や地域生活のバランスをとります(ワーク・ライフ・バランス)。
6)心の病気と適切な対応について理解を深めます。
健康寿命,睡眠,飲酒,心の病(特にうつ病)について
1)健康寿命について
「健康寿命とは自分の心身で生命を維持し,自立した生活ができる生存期間」
のことで,「日常生活に制限のない期間」のことです。平均寿命と健康寿命と
の差は,日常生活に制限のある期間で,平成28年では男性8.84年,女性12.35
年です。健康で自分のことを自分でできる時期を長くする為に取り組みましょう。
2)睡眠について
「眠れない≠不眠症」です。睡眠には個人差がとても大きく誤解も多いです。
ただし「いつもと違う」睡眠の時,心の不調が隠れていることがあります。
うつ病をはじめとする心の病気では睡眠の異常が起こることが多いので以下の
点に気をつけましょう。
眠くなったら床につき,朝同じ時間に起きだすのが理想です。寝ようと努力
すると頭が冴えて眠れなくなります。また,眠れないのに布団に長くいるのも
問題です。だれでも睡眠時間は年齢とともに減り,眠りも浅くなり,目が覚め
やすくなるものです。
3)お酒について
お酒は少量で興奮し眠れなくなります。大量で意識障害をおこします。健康
に酒をのむには,週2回の休肝日を設け,1日あたり男性なら2ドリンク(純
アルコール20g),女性・高齢者・お酒を飲むとすぐ赤くなる方は1ドリンク
(純アルコール10g)までにしましょう。酒類の1ドリンク量(=純アルコー
ル10g)の目安は,ビール・発泡酒(5%)250ml:中ビン・ロング缶の半分
程度。日本酒(15%)80ml 0.5合程度です。
4)ストレスと心の病,特にうつ病について
ストレスには様々な種類があり,心や体,行動に影響を及ぼします。それは
体が「そろそろ休んでね」というサインかもしれません。うつ病などの苦しい
病気にかかることもあるので以下のような対策をしましょう。
特にいつもと違う不眠が2週間以上続く時には,病院に相談しましょう。
・規則正しい生活(運動や,食生活も大切)
・できれば,人と交わる時間を増やす。
うつ病は生涯有病率6.5%(一生に1回うつ病にかかる人が15人に1人)とい
われています。うつ病とは,大まかに,気分の落ち込みや,興味や喜びが減っ
た状態が「1日中」「2週間以上」続いている状態をいいます。その症状の中
に,不眠も含まれています。この場合早期に受診しましょう。
まとめ
こころと体がいつも通りか,自分でも周りの方にも,わかりやすいのが睡眠
です。ストレスへの対処法,上手な睡眠の取り方などを中心に説明し,ご自身
の心身の健康が維持できるようになっていただきたいのと同時に,こころの病
気が隠れていないか「いつもと違う」睡眠には気をつけましょう。周りの方も,
相手がいつもと違う「様子・表情・態度」を感じたら気をつけて見てみましょう。