「知っておきたい脳血管疾患」


はちのへ西脳神経クリニック 真鍋 宏



 脳血管疾患で最も多く,高齢化社会である現在,社会的にも多くの問題を含
んでいる脳卒中について,疫学,病態,注意すべき症状,危険因子,予防の5
つについて解説。

1.疫学
 脳卒中は現在,死因の第3位,寝たきり原因の第1位。年間約30万人発症し
有病者は310万人で,そのうちの約6割が介護を,90%が何らかの医療が必要。
発症10年間での死亡率は50%。青森県での脳卒中患者数は2005年統計で全国15
位,年齢を調整した標準化死亡比は全国トップクラス。

2.病態
 脳卒中は出血性と虚血性に大別される。出血性脳卒中は,クモ膜下出血と脳
出血に分けられる。虚血性脳卒中は,穿通枝が閉塞するラクナ梗塞,アテロー
ム血栓性梗塞,心原性脳塞栓症に大別される。6割が虚血性脳卒中であり,そ
のうち約4割がラクナ梗塞,約3割がアテローム血栓性梗塞,約2割が心原性
脳塞栓。

3.注意すべき症状
 下記の症状には注意が必要。専門の医療機関に受診,または突然で重篤な場
合は躊躇せずに救急車を呼ぶ事も必要です。
1)手足の麻痺,脱力(運動麻痺)。
2)言葉が出てこない,理解ができない,会話が成り立たない(失語症)。
3)呂律が回らない,しゃべりにくい(構音障害)。
4)めまい,ふらつき(運動失調)。
5)頭が痛む(頭痛)。
6)物が二重に見える(複視)。
7)視力が急に落ちた(視力低下)。
8)見える範囲が急に狭くなった(視野狭窄)。
9)手足のしびれ(知覚障害)。

4.発症の危険因子
 高血圧症,糖尿病,不整脈,たばこ,アルコール摂取,高コレステロール血
症,メタボ症候群が危険因子。前4者が特に相関が高い。

5.脳卒中の予防
1)暴飲暴食をしない。減塩食。節酒。
2)適度な運動を行う。
3)禁煙。
4)自宅血圧を測定し,高血圧を防止し治療する。
5)健康診断を定期的に受診する。
6)糖尿病,不整脈を持病として持っているのなら,それらの治療。