「よくある眼の病気」
熊谷眼科医院 熊谷 俊一
聴衆は中高年の方が多いので中高年に比較的多く見られる眼疾患について講
演しました。
1.白内障
白内障とは?;水晶体が白く濁る病気。
症状;初期はモヤッとする,眩しい,しぶい等あり進行すると視力低下となる。
治療;進行を遅くする点眼薬等。進行し日常生活に支障が生じれば手術療法。
手術;濁った水晶体を取り除き,透明な眼内レンズ(人工水晶体)を入れる。
2.緑内障
緑内障とは?;個人の適正眼圧以上に眼圧が高くなり視神経が障害される疾
患。
頻度;40歳以上の17人に一人,70歳以上なら10人に一人。日本人の緑内障の
約7割は正常眼圧緑内障(眼圧が正常にもかかわらず緑内障)であるため眼圧
だけのチェックでは危険,眼底検査が重要。
症状;初期は無症状(だから恐い!),進行すると,視力低下,視野狭窄とな
る。
治療;
1点眼薬で眼圧を調整。
2点眼薬で調整が困難な時は内服薬 や注射で眼圧下降。
3それでも眼圧を調整できない時はレーザー治療や手術療法。
3.飛蚊症・網膜剥離
飛蚊症とは?;晴れた日に空とか白い壁等を 見た時小さい蚊のようなも
のが飛んで見える症状。病的でないことが多い。
網膜剥離とは?;網膜が剥がれる状態。視力が下がり,視野が狭くなり,放
置すると網膜全部が剥がれ失明する。
治療;初期はレーザー治療可能なこともあるが,根本的には手術療法が必要。
4.糖尿病性網膜症
症状;初期には自覚症状が全く無いため定期的な眼底検査が重要。進行する
と視力が低下し,さらに悪化すると失明することもある。
眼底所見;初期には網膜に出血斑や白斑が見られ,悪化すると出血が増え,
更に増悪すると網膜剥離や緑内障を併発し失明する。
治療;内科的治療が重要。
眼科治療は網膜光凝固術。また合併症に対しての手術療法。
5.加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは?;老化により網膜の中心部である黄斑部に障害が生じ,
見ようとするところが見えにくくなる病気。近年増加傾向にある。
症状;変視症(物が歪んで見える),視力低下,中心暗点,色覚異常。
頻度;50歳以上の人口の0.87%。
治療;光線力学的療法
薬物治療(血管内皮増殖因子抑制 剤の投与)
レーザー凝固
その他
予防;禁煙
サプリメント(ビタミンC,ビタミンE,βカロチン,亜鉛などを含んだサプ
リメント)