きよかわ内科胃・大腸クリニック 清川 哲丸
１ 日本人の死因
１悪性新生物
２脳血管疾患
３心疾患
男性の約３割，女性の約２割が悪性新生物（癌）で死亡しています。
２ 急増している大腸癌
従来，日本人には胃癌が最も多く，大腸癌は欧米に多い病気だったのですが，
食生活の欧米化に伴って大腸癌が急激に増えています。
青森県でも男女共に大腸癌で死亡する方が非常に増えています。
３ 大腸癌の症状
大腸癌の早期には症状がないことがほとんどで，便の潜血反応も陰性です。
血便，腹部痛，便通異常，便が細くなるなどの自覚症状は，ある程度進行した
癌の場合です。
４ 大腸癌の年齢分布
大腸癌の発生は60歳代の人が最も多くなっています。60歳代付近の方で便潜
血反応が陽性，便通異常（便秘，下痢）などを認める方は精密検査（内視鏡検
査）が必須です。
５ 大腸癌の好発部位
大腸癌の約70％が直腸からＳ状結腸までの約30cmに発生します。そのうち40
％以上が直腸に発生します。男女比はほぼ同じですが，直腸癌は男性に多い傾
向があります。
６ 早期癌と進行癌
癌が粘膜下層までしか達していないものを早期癌といい，癌が筋層まで達し
ているものを進行癌といいます。癌が進行すればするほど癌の転移の確率が高
くなり，したがって生存率も下がります。
７ 大腸癌の治療
大腸癌の治療には，１内視鏡的治療，２外科的治療，３放射線療法，４内科
的療法（化学療法など）などがあり，癌の進行度などによって，単独で，又は
組み合わせて行います。最近では進行癌でも小さなものでは，腹腔鏡を用いた
手術で対応できます。また，直腸癌の場合には，肛門括約筋を残す肛門括約筋
温存術が実施されるようになり，人工肛門をつけなくても済む場合も多くなっ
ています。
８ 大腸癌の予防
大事なのは禁煙，節酒，運動
１動物性脂肪や肉を食べ過ぎない。
２食物繊維を十分に摂る。
３便秘をしないように，規則正しい便通を心がける。
４過労，ストレス，暴飲暴食を避ける。
５ポリ−プが見つかったら良性でも放置しない。
６自覚症状がなくても年に1回は検診を受ける。
７血縁者に癌患者のいる人は特に要注意。
