「ドーピング防止活動と薬剤師@」

中村卓=青森県薬剤師会八戸支部常務理事、エンゼル薬局薬剤師

 毎年国内外では、実に多くのスポーツ競技会が開催されています。今年は6
―7月のFIFA女子ワールドカップでの「なでしこジャパン」の優勝や、8
月に韓国で開催された世界陸上・男子ハンマー投げでの室伏広治選手の金メダ
ル獲得など、大いに盛り上がりました。

 このような競技会で繰り広げられる一線級のアスリートのパフォーマンスに
はいつも興奮や感動を覚えますが、その一方で残念な事に、ついて回ってくる
のが「ドーピング問題」です。

 これに伴い、国際的には1999年に世界ドーピング防止機構「WADA」
(World Anti―Doping Agency)が、国内においては
2001年に日本アンチ・ドーピング機構「JADA」(Japan Ant
i―Doping Agency)が設立されました。

 そして2010年4月には、JADAが認定する「公認スポーツファーマシ
スト制度」がスタートしました(薬剤師を英語でファーマシストと言います)。
そう、私たち薬剤師もアンチドーピング(ドーピング防止)活動に、より直接
的に携わっていく場が与えられました。

 「直接的に」と言っても、スポーツファーマシストが競技会会場で尿検査を
行うとか、必ずしもそういう事ではありません。

 期待されている活動内容は、
@国民体育大会に向けての都道府県選手団への情報提供、啓発活移動
Aトップレベル競技者及び指導者への情報提供、啓発活動
B学校教育の現場における薬物に関する情報提供、啓発活動
Cドーピング防止教育啓発活動における講習会での講師―などがあります。

 スポーツファーマシストの認定を受けるには、基礎講習会ならびに実務講習
会を受講し、最後に知識到達度確認試験があります。その後も毎年実務講習会
の受講が必要で、受講しなかった場合、認定は失効します。

 青森県内においては、制度開始の2010年は全県でわずか4人だけでした
が、2011年4月には私も含め27人の新たなスポーツファーマシストが誕
生しました。