「日本医師会A」

 これからしばらく「医師会」について紹介してまいります。わが国は超高齢
化社会を迎え、医療をはじめ社会保障のあり方が重要な問題となっています。
この紙面をお借りして、医療の現場に携わる私どもの主張や活動を市民の皆さ
んへお伝えし、これからの医療について一緒に考えていただきたいと思ってお
ります。

 【日本医師会の成り立ち】
 日本医師会は全国の医師を代表する会員約16万人の民間団体です。その前
身である大日本医師会は、世界的細菌学者である北里柴三郎博士らによって1
916年に創設されました。戦前戦後の紆余(うよ)曲折をへて、47年、現
在の社団法人として認められています。
 日本医師会は47都道府県医師会から構成されていますが、都道府県医師会
もまた所属する群市医師会からなる連合体であり、それぞれの医師会は独立し
た法人です。医師会への加盟は各人の任意であり、現在の会員は開業医が約8
万5千人、勤務医が約8万1千人です。

 【日本医師会の活動】
 日本医師会は、医道の高揚、医学の発達普及、公衆衛生の向上、社会福祉の
増進を目的として色々な活動を行っています。
 具体的には、
@医療政策の立案・提言
A学術活動(機関誌や生涯教育制度)
B地域の救急医療、学校医や産業医などの保健活動、介護支援などの福祉活動
C広報活動(健康セミナー、講演会ほか)などです。
 まず、これらの中でも、特に重要な医療政策についてお話しましょう。

 日本の医療は、診療報酬を決定する政府によって強力な統制下におかれてい
ます。診療報酬とは医師、看護師など職員の人件費、薬などの材料費、設備投
資など全ての原資となるものです。

 医療の進歩や患者の増加に見合うだけの財源が確保されなければ、医療の現
場は立ち行かなくなります。そして、政府による長年の医療費抑制政策の結果、
日本の医療は危機的状況に陥りつつあるのです。