「脳ドックの意味」

乙供通則=おっとも脳神経クリニック院長、八戸市在住

 くも膜下出血という病気は最近、テレビ番組でたくさん放映され、一般の人
たちによく知られるようになりました。そして一昨年は木原光知子さん(水泳
の元オリンピック選手)が亡くなり、怖い病気だと実感されたと思います。

 お餅(もち)を焼くと膨らんで破裂するように、脳の血管が膨らんで破裂す
る病気がくも膜下出血です。十数年前までは、動脈瘤(りゅう)は造影剤を注
入して写真を撮らないと、写し出すことができませんでした。ところが今はコ
ンピューターの進歩により、造影剤を用いなくてもMRI(核磁気共鳴装置)
で脳動脈瘤を回転動画像として見せることができます。

 脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血は、死亡率が一週間以内で30%、一カ月以
内で50%という恐ろしい病気です。注射、X線被爆等の侵襲(痛みや体へのダ
メージ)が無くても分かるようになり、くも膜下出血を未然に防ぐ目的で、脳
ドックにMRIが応用され普及してきました。

 これに加えて、受診者の腹囲・体重、血圧、血液・尿の検査によるメタボリ
ックシンドロームの早期治療を徹底し、動脈硬化による脳梗塞(こうそく)、
心筋梗塞の若年発症とぼけ防止を行います。

 正常血圧は、四十−六十九歳は一二九/八四mmHg以下、七十歳以上の方
は一三九/八九mmHg以下です。これ以上の血圧を放っておくと、動脈硬化
が進んで、七十歳あるいは八十歳過ぎると、脳梗塞や心筋梗塞を起こす確率が
増えます。

 ですから血圧が高い場合は、今から治療を行い、塩分の摂取を減らすために、
保存食、漬物は禁じ、醤油(しょうゆ)を少なく、みそ汁、ラーメン、そばの
つゆはできるだけ残すようにしましょう。


      −塩分摂取が過剰にならないよう食生活の見直しを−