「長期処方について」
本田忠=本田整形外科クリニック院長、八戸市在住
現在、麻薬及び向精神薬、1年以内の新薬など特定の薬剤を除き、薬剤投与
期間の日数制限がありません。そのため、医師の判断で長期処方は可能です。
【日数制限のある薬】
@発売されてから1年以内の薬は14日分が限度A向精神薬、麻薬などの薬
は、薬剤によって14日、30日、90日分が限度。これらの薬も年始年末や
長期旅行などでは、この限りではありません。
【長期処方の現状】
調査によれば、高脂血症や高血圧症は処方期間が8週以上の医師は約8割と、
かなり長期化していました。診療所で、その理由としてもっとも多かったのは
「患者さんからの要望」で6割でした。
【長期処方のメリット】
忙しい方、また冬季などを考えれば、長期処方は病院に何度も行かなくて良
いし、診察の回数が減り、その分の診察代や薬局で調剤費用が不要になる、と
いうメリットがあります。ただ、1回の処方量が増えますので、1回分として
は高くなります。
【長期処方のデメリット】
長期処方により「患者の容態の変化に気付くのが遅れたことがある」医師が
2割近くいました。また「患者さんが次の診察に来なかったことがある」医師
は約5割でした。容態が変化して重篤化したケースも報告されています。ご高
齢の方は、長期処方中に容態が変化しても、遠慮して次回診療時まで我慢して
しまうという報告もありました。
【なるべく定期的に受診する】
高血圧などで症状が安定していれば、長期処方は確かにうれしいことでしょ
う。しかし、医学的な観点からは、あまりにも長く病院や薬局を訪れないと、
病状の変化や副作用の発見が遅くなったり、見逃すことがどうしても多くなり
ます。
ご自身の体のことですから、長期処方に関しては医師に十分相談し、安定し
ていても定期的に、きちんと受診するようにしてください。また、いつも使っ
ている薬だからと安心せず、もし何か変だなと思うことがあったらすぐに医師
や薬剤師に相談してください。