「ワクチンの話4」
高度な医療技術と長寿社会を誇る日本ですが、実は予防接種については先進
国の中でも驚くほど立ち遅れているのが現実です。
日本とアメリカ、イギリス、フランス、ドイツでのワクチン接種の状況を比
較すると、日本以外の国ではほとんどの予防接種が定期接種(国の法律で接種
が義務付けられているもので、対象年齢で接種すれば無料で受けることができ
る)です。それに対し、日本では約半分しか定期接種に定められておらず、自
費で予防接種を受けなければなりません。
インフルエンザ菌b型(ヒブ)感染による乳幼児の細菌性髄膜炎は、初期診
断や治療が難しいため古くからワクチンの必要性が議論され、1980年代後半に
は欧米を中心に予防接種効果が高いヒブワクチンが導入されました。
アメリカではこのワクチンによる定期予防接種の導入により、ヒブ罹患率が
100分の1まで減少しました。現在では世界100か国以上で使用されるようにな
り、世界的にみるとヒブ感染症は稀な疾患になっています。
日本では、平成19年1月にようやくヒブワクチンが承認になりましたが任意
接種であり、接種率が上がりませんでした。公費負担がないどころか、自費で
も昨年春まで小児肺炎球菌の予防接種は受けることができませんでした。
小児肺炎球菌も髄膜炎を起こす原因菌で、ヒブと合わせて細菌性髄膜炎の80
〜90%を占めています。ようやく国の方でも重い腰をあげ、ヒブワクチン、肺
炎球菌ワクチンに加えて、子宮頚がんワクチンを対象に助成金をだしたため、
対象年齢の人は無料で受けることができるようになりました。