「青森県の医師不足」

本田忠=本田整形外科クリニック院長、八戸市在住

◇青森県の医療施設数
 青森県における病院数(平成21年10月1日現在)は、104施設で、全国
平均を上回っています。
 一方、診療所は936施設で、人口10万対では67・9施設(全国78・
1施設)で、全国平均を下回っています。
病院(平成22年4月1日現在)は、国立病院8施設、県立病院等5施設、自
治体病院26施設、民間病院64施設、その他となっています。

 ◇医師不足が深刻(図参照)
 青森県内の医師数(平成20年末現在)は、2428人となっており、これを
人口10万対でみると、174・4(全国平均212・9)で、残念ながら全
国の中で最下位に近い状況です。
 ◇医師不足の原因は主に地域偏在
 医師数は毎年8000人程度増えています。しかし青森県では医師が足りま
せん。研修医制度で、大学に残る医師が少なくなってしまい、東京などの都市
部の市中病院に人気が集中しているためです。
 ◇青森県の様々な取組
 青森県としても、奨学金など様々な対策を取り、それなりに成果は上がって
はきています。
 1.県出身者の医学部合格者数
 平成19年度に72人、20年度は82人、21年度は76人(うち弘前大
学46人)と増加しました。
 2.初期臨床研修医採用者数
 初期臨床研修医採用者数は、平成21年度に過去最高の66人となりました。
しかし残念ながらまた減ったようです。
 3.県外からの医師数(平成22年6月末現在)
 県外からの医師招へい数は、平成15年度以降27人となっています。
 4.自治体病院機能再編成
 各地域で自治体病院の統廃合が行われつつあります。
 ◇まとめ
 自治体病院は大分診療科を減らしています。西北地区やあすなろなどの肢体
不自由児施設で話題になりましたが、郡部の自治体病院の統廃合が矢継ぎばや
です。 
 抜本対策としては研修医制度を見直して医育機関であると同時に人材派遣業
でもあった大学に医師を残すようにして行くのが一番ではないかとは思うので
すが、いったん作られた制度の変更はなかなか難しい所もあるようです。