「腹部超音波検査」

板垣和子=八戸市総合健診センター超音波検査士

 八戸市総合健診センターでは、日帰り人間ドックや国保ドックの方を対象に、
またオプションとして腹部超音波検査を行っています。

 この検査は、ゼリー剤を塗った腹部にプローブという超音波を発信する装置
をあて、その反射波(エコー)を利用して画像化しモニターで確認するもので、
検査に要する時間は10分〜15分です。検査を受ける方の苦痛もなく造影剤
や放射線を使用しないので体への害が無く安全なため、産婦人科では胎児の診
察にも用いられています。検査対象も広く、細胞成分の多い肝臓や腎臓、膵臓、
脾臓、液体が溜まっている袋状の臓器である胆嚢や膀胱などに超音波が伝わり
やすいので、よく観察する事が出来ます。

 腹部超音波検査を行うことにより、胆嚢、肝臓、膵臓、腎臓、脾臓、膀胱に
結石や嚢胞、腫瘍ができていないか、肝臓に脂肪がついていないかなどがわか
ります。太い血管も観察できるので、腹部大動脈瘤が見つかることもあります。

 しかし、こんなに安全で多くの情報が得られる腹部超音波検査にも弱点はあ
ります。超音波の性質上、空気層を通過できないので、胃腸や肺のように空気
を含んだ臓器は、あまり得意ではありません。

 また、脂肪は超音波を反射しやすので、肥満の方に超音波を当てても良い画
像が得られないことがあります。

 そこで、少しでも良好な情報を得るために、絶食の状態で検査を行ないます。
食後では消化管内に空気が発生しやすく、胃の裏にある膵臓が見えにくくなり
ます。その上、胆嚢が胆汁を出すために収縮してしまい胆嚢の評価が困難にな
るからです。

 また、膀胱を検査する場合は尿がたまっているほうが詳しく観察できるので、
検査前の排尿は我慢していただいています。すべての病気を発見できるわけで
はありませんが、腹部超音波検査は無症状の病気を早期発見するのに適した検
査です。

 皆様の健康維持のためにも、定期的な検査受診をお勧めいたします。