「障がい者(児)の歯科治療」
三浦大輔=たものき歯科医院院長、八戸市在住
歯科保険と歯科治療は、生きがいのレベルにおいて「話す」「笑う」「食べ
る」「息をする」という口腔機能の育成や機能障がいの改善に重要な役割を担
っています。
重症障がい者(児)や末期がんの患者、寝たきりの高齢者などでは「話せな
い」「笑えない」「食べれない(経管栄養)」「呼吸できない(気管切開、人
工呼吸)」であることがままみられます。
しかし口腔がその人のアイデンティティを形成する中心的役割を担う器官の
一つであることに変わりはないと思います。
さらに口腔ケア(口腔衛生管理)は感染性・誤嚥・窒息や口臭の防止をはじ
め、生命とQOL(生活の質)を保障し障がい者(児)とその周囲の人の生き
がいを保障する意味でも口腔ケアは生活の質を保障する重要な支援の柱の一つ
であります。そこで今回は口腔ケアの重要性について述べます。
障がい者(児)は障がいの種類や程度が個人個人でそれぞれ異なります。知
的発達障がい者(児)と成人してからの中途障がい者では障がいの内容がかな
り違い、口腔ケアにおける問題点も同じではありません。
発達期に原因があった知的発達障がい者(児)の口腔ケアの目的は主として
むし歯や歯周疾患の予防にあります。
一方、発達期に始まる脳性麻痺を含めて脳卒中後遺症や慢性関節リウマチ患
者などの中途障がい者では摂食機能の改善や維持、すなわち口腔内の食物残渣
や歯垢を落として、食事を味わって食べる条件を整える意味が加わります。こ
れは同時に食欲を亢進させて体力増強を助けることにもなります。
すべての障がい者(児)にとって口腔ケアは重要です。障がいの種類、程度
に違いはありますが、近隣の歯科診療所や歯科医師会に御相談下さい。