「歯周疾患検診」
吉田光宏=こなかの歯科よしだ院長、八戸市在住
成人の約8割がかかっている歯周病(以前は歯槽膿漏と呼ばれていた)は、
学童期のし歯と並んで歯をなくす原因となる口の病気です。ところが、歯周病
は「沈黙の病気」といわれるほど痛みのないままジワジワと進行します。歯が
グラグラし始めたときには、治療が困難な状態になってしまっている、という
ことも少なくありません。
したがって歯周病は、痛くなったり、ひどくなってから歯科医院へ駆け込む
のではなく、健康管理の一環として、専門家による定期的なチェックを受ける
ことが大切なのです。近年、残存する歯の数とかかる総医療費の関係を調査し
た研究から、残存する歯が多い人ほど総医療費の減少傾向が認められ、特に入
院医療費において、残存する歯が少ない人または歯のない人と大きな差が認め
られたとの結果が発表されました。
これは口の健康の維持が、全身の健康を保つことにつながることを示唆して
います。
さらに歯周病は心筋梗塞、動脈硬化、糖尿病の発症と進行の危険性を上昇さ
せる因子となること、また早期低体重児出産、誤嚥性肺炎発症の直接的な因子
となることも分かってきました。歯周病は、歯を失うだけでなく、生活習慣病
を悪化させるなど、全身の疾患と関係するこわい病気です。何よりも早期発見・
早期治療が大切になります。
自身の口の健康状態を把握するために歯科医のチェックが必要なのです。八
戸市では八戸歯科医師会とともに、歯周疾患検診を行っています。今年度、4
0・50・60・70歳になる人は、自己負担金千円で、歯の状況・歯周組織
状況・口腔清掃状況などの口腔診査を歯周疾患検診受託医療機関で受けること
ができます。
この機会にぜひご利用ください。