「口腔がん」
岩崎浩二郎=岩崎歯科クリニック院長、八戸市在住
お口の中にも「がん」ができることをご存知ですか?
口腔がんは日本ではすべてのがんの約2〜4%を占めており、年間約600
0人の方がこの病気にかかり、約3000人の方が亡くなっています。
しかし、口腔内にもがんが発生することはあまり知られていないため、進行
するまで放置されてしまうことも多く、近年、口腔がんで亡くなる方が増加傾
向にあります。
口腔がんとは、お口の中にできるがんの総称で、発生部位では舌がもっとも
多く、次いで歯肉、頬粘膜、口蓋、口底、さらに顎の骨や唾液腺にも発生しま
す。
口腔がん発生の最大の原因は、タバコとお酒です。
また口腔内の不衛生、虫歯や入れ歯、食事による慢性的な刺激、栄養不良や
ウィルスが挙げられています。欠けて尖った歯や、合わない入れ歯・詰め物な
どによって、口腔内の粘膜に慢性的な刺激がある場合も口腔がんの原因になる
と指摘されています。
口腔がんの初期症状で最も多いのは痛みで、その他しこり・腫れ・ただれ・
出血・歯の動揺・口臭などがあげられます。
しかし、ごく早期の段階では痛みが少ないことが多く、口内炎などの症状と
似ているため、受診が遅れがちになります。
治療としては、ほとんど全ての口腔がんで手術治療が中心になります。早期
のがんでは手術単独で治療できますが、進行がんでは、手術に放射線治療や抗
がん剤を組み合わせた治療になります。
口のがんの特徴は、自分で発見できる事です。
チェックするポイントとしては、治りにくい傷がないか、粘膜のただれや赤い
斑点がないか、こすっても取れない白い斑点がないか、しこりや腫れなどがな
いか、などです。
万が一気になる症状が見られた場合は、早めにかかりつけ医に相談しましょ
う。
最も大切なのは、かかりつけ医を持ってきちんと定期検診を受けることです。
定期的な検診は、口腔がんの早期発見だけでなく、
口腔内の環境を整えることによって口腔がんの予防にも繋がります。