「国民医療費の内訳」
本田忠=本田整形外科クリニック院長、八戸市在住
医療費を誰がどの程度負担しているかご存じですか。2007年度の国民医
療費34兆1360億円を財源別に見ると、国庫負担24・7%、国民負担4
3%(患者14・1%、被保険者28・9%)、会社などの事業主負担20・
3%となっています。
国が支出しているのは8兆4300億円で、1980年度に比べると構成割
合で5%ほど減少しています。事業主負担も数年単位で見ると減少しています。
一方、地方負担と患者の直接負担の増加が目立ちます。
医療費はどのように使われているのでしょう。
2007年度診療種類別国民医療費では、入院医療費が36・9%、入院外
医療費が38・2%となっています。また薬局調剤医療費は15%です。入院
医療費、入院外医療費とも近年わずかながら構成割合が下がってきていますが、
薬局調剤医療費は激増しています。
医療機関の費用構造は、04年度の推計値で人件費47・8%、医薬品21・
7%、医療材料(診療材料、給食材料など)6・5%です。
07年度の場合、約34兆円の国民医療費のうち、約7兆円が医薬品、約2
兆円が医療材料に使われていることになります。
医療機関で発生する費用の半分は人件費です。医療は労働集約産業です。人
件費として使われているのは25兆円程度です。
保険で使われている医薬品や医療材料の価格は、外国と比べてなぜか大変高
く設定されています。
一方、病院や診療所は診療報酬が低く設定され、経営は非常に苦しくなって
います。特に病院の経営は危機的状況で、自治体病院の約90%、国公立病院
の約80%、民間病院の約25%が赤字です。国公立病院の統廃合が行われ、
自治体病院の売却や、中・小の民間病院の倒産、閉鎖も話題になっています。