「脊柱側彎症検診」
盛島利文=青森県立はまなす医療療育センター園長
学校検診の項目に、脊柱側彎(せきちゅうそくわん)症検診があります。こ
れは、背骨が異常に曲がっていないかを診察するものです。
昭和40年代の一時期、全国的に整形外科医による検診もありましたが、医
師の労力と検診の陽性率、費用対効果等の検討から、その後は耳鼻科や眼科、
歯科のような別項目ではなく、内科検診の一項目として行われていました。専
門である整形外科医の検診がなくなったことで、進行した状態で見つかる可能
性が心配され、そこで、八戸整形外科医会の協力を得て、2004年から八戸
市内全校の小学5年生と中学2年生を対象に、各担当の整形外科医が直接学校
に出向いて検診を行うようになりました。
担当の先生、各学校の関係者、また05年から正式な業務としてお認めいた
だきました市医師会の関係者の皆さんのご協力で、この検診が順調に行われて
いますこと、感謝いたします。
脊柱側彎症の治療は、軽微であれば自然改善もあるため経過観察、進行し中
等度であれば装具療法、高度に進行の可能性があれば手術が勧められます。服
を着ていると目立たないことも多く、そのまま進行し、背中の出具合や肩の高
さの左右差などで気付いたときには、手術が必要といった場合もあります。
脊柱側彎症は、心臓や腎臓などと異なり直接命にかかわりませんので、悪く
なってから手術というのも考えの一つです。しかし、早期に発見し、装具療法
を行うことで手術を回避するのも検診の意義と考えます。
実は、毎年の脊柱側彎症検診で、学校での受診率は約97%なのですが、そ
こで要再検査の連絡をした児童生徒のうち、医療機関の受診率は約50%にす
ぎません。医療機関受診者の1割前後が装具療法の対象となっており、再検査
を受けていない方にも同様に治療の必要な方が含まれている可能性があります。
先に述べましたように、気付いたときにはかなり進んで「手術を行うしか治
療法はない」ということにならないよう、学校から要再検査の連絡がありまし
たら、また、ご家族が見てお子さんの背中の曲がりが気になったときは、ぜひ、
お近くの整形外科を受診してください。