「国民皆保険制度」

本田忠=本田整形外科クリニック院長、八戸市在住

 日本では、全国民はなんらかの「公的な健康保険」に加入するように定めら
れています。健康保険では、皆さんは治療にかかる費用の一部(一部負担金)
だけを医療機関で支払い、残りは各保険者(健康保険の運営組織)が負担して
います。

 もし保険が無く全額自費となれば、非常に高額となります。健康保険の切れ
目はつくらないようにしてください。新生児の保険証(正式には被保険者証)
が手元に届くまでの期間や、保険証の変更手続き中など、保険証の提示が不可
能な場合、保険者が発行した被保険者資格証明書で保険証に代えることが可能
です。

 保険証を紛失した場合、不正使用もあり得ます。速やかに警察に紛失届を提
出するとともに、再交付の申請をしてください。

 保険証は徐々に「個人カード」化されています。保険証の種類によって異な
りますが、裏面には注意事項が記載されていますので、よく読んでおいてくだ
さい。

(1)保険証は、医療機関へ初診時だけではなく受診の都度提示してください
(毎月の初診日)

(2)加害者がいる事故や、仕事上や通勤途上の災害では、健康保険は原則使
えません。その他の保険を使うことになります。

(3)貸し借りはできません。法律で禁じられています。

 このうちの(1)ですが、医療機関では保険証(コピーは不可)を毎月必ず
確認します。継続して受診されている方であっても、月初めは必ず保険証を提
示してください。乳児等の医療費公費負担証書も保険証とともに必ずご提示く
ださい。また、転職や引っ越し等で保険証が変更となった場合も随時提示して
ください。

 毎月毎月お手数をお掛けいたしますが、ご協力をよろしくお願いいたします。
しかし、なぜ、そんな面倒なことをするのでしょう。

 それは医療機関に対し、保険証が有効であるかどうかを毎月確かめることが
法律で義務付けられているからです。保険証は、皆さんが保険診察を受ける資
格があることの証明書です。

 医療機関は毎月、一部負担金の残りを各健康保険組合や全国健康保険協会、
各市区町村などの保険者に請求します。期限切れの保険証や、既に退職して資
格の無い保険証の記号・番号では支払いは却下されます。保険が確認できなけ
れば、最悪の場合、全額自費となることもあります。