「先天性股関節脱臼検診の心配A」
前回、先天性股関節脱臼で検診後の時期を過ぎてから診断される子どもが増
えていること、そして、その対策として宮城方式や松戸方式のチェック票につ
いて紹介しました。今回はまず、その詳細を分かりやすく改変して述べます。
松戸市乳児股関節検診は、
@性別(女児)1点
A家族歴(あり)1点
B分娩(ぶんべん)時胎位(骨盤位)1点
C大腿(だいたい)皮溝の明らかな非対称(あり)1点
D(股関節の)開排制限(あり)2点
E(股関節の)Click Sign(あり)3点、
の6項目において、2点以上で整形外科の要精査X―p検査を勧めます。
宮城方式は、小児科検診で、大項目(股関節の状況)
@クリック音(あり)
A開排制限(あり)
B大腿皮溝の非対称(あり)
CAllis徴候のうち一つでも該当すれば整形外科医受診を勧めます。
あるいは小項目(子どもの状況)
@女児
A秋、冬生まれ(9月〜2月)
B家族歴―両親兄弟祖父母(2親等の股関節疾患あり)
C家族歴―おじ・おば・いとこ(3、4親等)
D骨盤分娩
E在胎37週未満、出生体重2500c未満
F身体的合併奇形あり、のうち三つ以上該当する場合も当てはまります。
股関節の開排制限とは、あおむけに寝てカエルのように股関節を広げた状態
=図1=をとっても開き方に左右差があったり、両側とも完全に開ききれなか
ったりの場合で、このとき関節の急な整復感や脱臼感、あるいは音を感じるの
がクリック音、あるいはClick Signと言います。
大腿皮溝非対称は、図2のようにあおむけに寝て脚を伸ばしたときに左右差
がある場合、Allis徴候は図3のようにあおむけに寝て、足をそろえて膝
を立てたときに脚の長さの差が見られるものです(図ではいずれも子どもの左
が異常)。
さらに新生児の股関節脱臼超音波検診を行っている整形外科医もいますが、
小児科医でも、超音波検査による診断を行っている地域もあります。
いずれにしてもこの記事を見て赤ちゃんの股関節脱臼が心配な方は、ぜひ早
めの整形外科医受診をお勧めします。
図1 図2 図3