「股関節が痛くなったらC」
【人工股関節置換術】
前回、若い年代では骨切り術で対応できることを掲載させていただきました
が、若くても変形が強い場合、高齢の場合では人工股関節置換術THA(To
tal Hip Arthroplasty)の適応となります。
人工股関節置換術は1960年代、イギリスのチャンレー医師の開発から始
まり、その後年々進歩し、現在では良好な結果が得られるようになりました。
日本では1970年代に導入され、現在では全国で約4万件の手術が行われて
います。
【当院での人工関節手術の状況】
八戸地区でも膝、股関節の変形で困っている方は数多く、現在当院では毎週
4、5件、年間120例の人工関節手術を行っております。
私は15年間八戸で人工関節手術に取り組み、現在まで約千例の手術を行わ
せていただきました。その中でも股関節最小侵襲手術MIS(Minimum
Invasive Surgery)に関しては青森県内でも最初に取り組み、
良好な成績が得られています。=写真=。
【最小侵襲手術、MIS】
小さい傷で、負担を少なくする手術が最小侵襲手術、MISです。20cm以
上の傷で行われていたTHAが現在では10cm以下、最小では5cmで手術を安
全に行うことが可能となりました。
術後2日目より歩行訓練を開始、約3週間での退院を目指しております。患
者さまから後で聞くと「これなら早く手術すればよかった!」と言っていただ
けることが多くなっております。
また、手術に関しては麻酔科との連携も重要で、当院では2人の麻酔科医師
が常勤しておりますのでより安全に手術が行われています。術後の疼痛(とう
つう)管理にも協力を得ております。
股関節に関しては、手術的な治療により改善することの方が多いのが事実で
す。怖がらず整形外科を受診していただきたいと思います。
次回は人工股関節再置換術、難しい症例について掲載いたします。
【写真説明】
MISの手術中の様子(上)と術後のレントゲン像