「股関節が痛くなったらB」
【変形性股関節症の治療】
前回までの掲載で股関節の重要性、変形性股関節症の原因、症状についてご
理解いただけたと思います。今回からはその治療法について掲載いたします。
【大切な保存療法】
整形外科を受診すると、すぐ手術されるのではと誤解されている方も多いよ
うです。そのため痛みを我慢して、受診しない方も多いことは私も実感してお
ります。
まず、ご理解いただきたいのは、治療は手術によらない薬、リハビリなどの
保存療法から始めるということです。保存療法は非常に重要であり、実際に私
の病院でもリハビリを行うことにより疼痛(とうつう)が緩和し、手術には至
らずに済んでいる方も多数いらっしゃいます。
しかし、間違った方法で保存療法を行うと、かえって症状も悪化することが
あります。怖がらずに受診し、適切な保存療法より治療を開始していただきた
いと思います。
【手術療法・骨切り術】
保存療法で改善しない場合に手術治療を考えます。股関節手術には大きく分
けて骨を切ることにより関節の適合性(かみ合わせ)をよくする骨切り術、ま
たは人工股関節置換術が行われます。
骨切り術は、骨頭の変形が少ない方が適応となりますが、やや変形の進んだ
場合でも、場合によっては適応となることもあります。専門医と相談の上、適
切な方法を選択していただければと思います。
代表的な骨切り術は寛骨臼回転骨切り術という方法です。臼蓋(きゅうがい)
形成不全の方に対し、臼蓋側をくりぬき、回転させ、骨頭を覆う方法で、良好
な成績が得られています=写真=。
骨切り術の場合は入院期間が2カ月程度と長期間を要するという欠点もあり
ますが、自分の骨で一生過ごせるという最大の長所があり、若い方では骨切り
術が選択されます。
次回は人工股関節置換術について掲載いたします。
【写真説明】寛骨臼回転骨切り術の術前(右)と術後