「心房細動の抗凝固療法B」
今回は新薬として今年4月に発売されたばかりのリバーロキサバン(イグザ
レルトR)についてお話しします。
リバーロキサバンの作用機序は、血液内で繰り広げられる血液凝固に関わる
化学反応のうち、第Xa因子が関与する化学反応を抑制して血栓形成を抑える
ことですが、詳しくは省略します。分類的には抗凝固療法薬をワルファリンと
新薬群に分けると新薬群に入ります。
リバーロキサバンの特徴を申し上げると、ビタミンKとは無関係の作用機序
ですから納豆は食べられます。また、腎臓で3分の1、肝臓で3分の2の代謝
を受けます。そして、半減期が長く8〜11時間です。さらに、生体利用率が
高い点もあります。
日本国内での投与量は、欧米を中心とした臨床試験を踏まえ、日本人に合わ
せ減量していることも特徴です。しかし、リバーロキサバンの効き具合を直接
測るよい検査方法はありません。また、現時点でリバーロキサバンの作用を抑
える拮抗(きっこう)剤はありません。
ダビガトランとの違いとしては、リバーロキサバンは肝代謝が主です。肝機
能が非常に悪い方は服用が困難ですが、少しくらい腎機能が悪くても服用でき
る可能性があります。これはダビガトランとのすみ分けに重要な意味を持ちま
す。
半減期が長く1日1回の内服でよいことも特徴です。投薬量の決定には年齢
や肝・腎機能を配慮します。
ダビガトランでも同様ですが、ワルファリンに比べ、いったん出血を起こす
と大出血になりやすいので注意が必要です。また、狭心症のときなどに服用す
るアスピリンと併用すると、出血の危険がさらに増加します。
発売後まだ数カ月しかたっておらず、今後の動向を見守る必要があります。
うわさでは、リバーロキサバンの拮抗剤も開発中とのことです。