「顎の違和感」
栗橋龍一=くりはし歯科医院院長、八戸市在住
「口を動かすと耳の辺りが痛い…」「口を開けると耳の近くで音がする…」―。
このような症状がある方、過去に感じたことがあるという方は「顎(がく)関
節症」という病気かもしれません。
そもそも顎関節とは上顎と下顎をつなぐ、左右に一つずつある関節で、おお
むね耳の少し前に位置しています。この関節に何らかの異常が出現したものを
総称して「顎関節症」と呼んでいます。
その症状はさまざまで、主に痛み・雑音(耳の近くでの異音)・機能障害の
三つが挙げられます。痛みは口を動かしたときの関節やその周囲の組織(靱帯
(じんたい)・筋肉など)に感じるものが多いようですが、症状が悪化すると
動かさなくても痛む場合もあります。
雑音にも何種類かあり、「コキッ」「ジャリジャリ」など顎が外れるような
音、骨がすれるような音と原因によってその音もさまざまです。
上顎と下顎をつなぐ関節の間には、関節がスムーズに運動できるようにクッ
ションのような役割を果たす関節円板と呼ばれる部分がありますが、この円板
の位置異常や形態異常にもその症状は左右されているようです。
痛みが原因である場合が多いようですが、場合によっては痛みがなくとも「口
が開かない」「口の開閉がうまくできない」といった日常生活に著しい障害を
与える場合もあります。顎関節症が原因であると特定することは困難ですが、
肩こり、頭痛なども引き起こすこともあるといわれています。
治療はその症状によりますが、「スプリント」と呼ばれるマウスピースのよ
うな装置を使用したり、筋肉に痛みがあればその筋肉に電気を流してリラック
スさせたりします。
重度の顎関節症になると手術を伴うこともあります。楽しく、おいしく食を
するためには、歯はもちろん大切ですが、顎を動かす関節や筋肉もまた大事な
要素です。
これを読んで心当たりがある方は近くの歯医者さんに相談してみてはいかが
でしょうか?