「エックス線検査」
堀部崇=ほりべ歯科クリニック院長、八戸市在住
「○○マイクロシーベルト」とか、「○○ベクレル」とか、テレビや新聞で
報道されていますが、数字や単位で頭が混乱しますよね。今回は放射線とエッ
クス線検査について学んでみましょう。
「シーベルト」は、放射線の人体への影響を表す単位です。つまり被ばく線
量を表します。「ベクレル」は、物質の放射能、つまりどれくらい放射線を出
すかを表す単位です。医療機関のエックス線撮影による人体への被ばく線量も
「シーベルト」で表されます。
さて、私たちの身の回りにある放射線は、自然放射線と人工放射線の大きく
二つに分けられます。自然放射線とは、宇宙・大地からの放射線、自然界に存
在するもののことを言います。
また、人工放射線は、医療で使われるエックス線、原発事故で放出した放射
線などのことを言います。現在、テレビや新聞で報道されている屋外の放射線
量測定値は、自然放射線+人工放射線の値ということができます。
私たち日本人が地上で浴びている自然放射線量は、全国平均で年間0・99
ミリシーベルトといわれています。ちなみに青森県では年間0・86ミリシー
ベルトです。
表に、被ばく線量の目安をまとめてみました。海外では自然放射線量の多い
地域が数多く存在し、イラン・ラムサール地域の自然放射線量は、日本の平均
に比べ10倍もあることが分かります。また、温泉などでは自然放射線量が多
いことも知られています。
それでは、医療機関での被ばく線量についてみていきましょう。
医科の胸部エックス線撮影、歯科のパノラマエックス線(あご全体を撮影する
機械)撮影、デンタルエックス線(特定の歯を撮影する機械)撮影などで受け
る被ばく線量は、はるかに少ないことが分かります。
今日の状況では、被ばくに敏感になる方も多数いらっしゃるでしょう。
日常生活で受ける自然放射線量と比較すると、医療機関のエックス線検査の放
射線量は心配しなくてもよい範囲の線量です。
少しは安心していただけたでしょうか?