「大腸ポリープとがん」

品川博樹=岬台医院院長、八戸市在住

 体の中にできた小さい瘤(こぶ)や出っ張りのことをポリープと呼びますが、
大腸の内側にできたものは大腸ポリープといいます。大腸ポリープはがんに成
長していく可能性のある腺腫(せんしゅ)と、がんにならないポリープの二つ
のグループに分かれます。 

 腺腫は良性のもので、十ミリ以下の比較的小さいものがほとんどですが、大
きくなるにつれて、その中にがん細胞が発生し、大腸がんに成長していくもの
もあります。そこで、ある程度の大きさになったものを摘除しています。おな
かを切らなくても、肛門から挿入した内視鏡で焼き取ることができます。もっ
とも多く用いられている方法は「スネア・ポリペクトミー」です。きのこ状の
有茎性または亜有茎性の腺腫に適用され、内視鏡の先端からスネア(ワイヤルー
プ状の電気メス)を出してポリープに掛け、高周波電流で焼き切って摘除しま
す。なるべくがん細胞が発生する前に、あるいはがん細胞が発生しても内視鏡
で摘除できるうちに見つけることが大事です。

 しかし、ポリープが大腸の中にできていても、ほとんどの場合、症状はあり
ません。血便や便秘、下痢、腹痛などの自覚症状は、ポリープが成長して、あ
る程度進行したがんになってからでないと出てきません。ポリープを見つける
ためには、無症状でも内視鏡検査を受けることが一番確実です。

 検診などでは、まず便潜血反応検査を行っています。これは便に混じってい
るごく少量の血液も検出できる検査です。陽性の場合は、血液がポリープやが
んの表面からにじみ出ている可能性があります。ポリープやがんがあっても絶
えず出血が起こっているわけではないので、便を採取したときに出血していな
ければ、潜血反応は陰性となってしまうこともあります。

 また、ポリープのような出っ張りではなく、くぼんだ形をした初期のがんも
あり、この場合、便潜血反応は陽性になりにくいと考えられています。

 血便などの症状があるときはもちろんですが、便潜血反応が陽性の方や五十
歳以上の方、がんの心配のある方は大腸内視鏡検査を受けて、ポリープや初期
のがんのうちに見つけるようにしましょう。



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