「八戸地域の医療提供体制」

本田 忠=本田整形外科クリニック院長、八戸市在住

 青森県保健医療計画によると、県内は二次保健医療圏として地理的、社会的
条件により六圏域に分けられます。「八戸地域医療圏」(以下、八戸地域)は、
八戸市、おいらせ町、三戸町、五戸町、田子町、南部町、階上町、新郷村の一
市六町一村で、人口は約三十五万人です。

 八戸地域では、90%以上の患者さんが自域内で入院しています。また上十三
地域と県外(岩手県)からの流入が多くなっています。結果、五十万人前後の
健康を預かっていることになります。

 医療機関は、いわば地域医療を支えるハードウエアです。平成十八年の県の
統計では、八戸地域の病院(病床数二十床以上の医療提供施設)の数は二十八
施設で、総病床数は四千四百七十六床。一般診療所(病床数十九床以下の医療
提供施設、歯科含まず)は二百六施設で、そのうち有床診療所は五十五施設、
総病床数八百四十八床です。

 県内の人口十万人対の病院数は全国より若干上回っています。一般診療所数
は全国平均を下回っています。

 一方、医師は地域医療を支えるソフトウエアといえます。八戸地域の医師数
は五百七十人で、人口十万人当たり一六四・八人です。県全体では一七〇・五
人。全国平均では二〇六・三人です。都市部への偏在が進み、地方における医
師不足が深刻になっています。本県は全国と比較して人口十万人対の医療施設
従事医師数が82・6%(全国ワースト五位)と、平均を大きく下回っています。