「狭心症と心筋梗塞」

あおば循環器内科クリニック 木村 俊昭


狭心症とは心臓に血液を送る冠動脈の一部が狭くなり、血液の供給が不十分に
なったものです。そして冠動脈が閉塞すると心筋の壊死をおこします。これが
急性心筋梗塞です。

狭心症には大きく分けて2つあります。一つは冠動脈が動脈硬化のために狭く
なった労作性狭心症です。安静時は無症状ですが体を動かすと狭心症状がでま
す。もう一つは冠攣縮性狭心症と呼ばれます。これは冠動脈が痙攣し収縮する
ことで起こりますが、攣縮が治まると心電図は正常になります。

狭心症の診断には心電図が欠かせません。労作性狭心症では運動の前後で心電
図を比較する方法がとられます。冠攣縮性狭心症では発作時期は不明ですので
24時間の心電図記録(ホルター心電図)をとり、発作が起こったときの心電
図変化から判断します。

労作性狭心症の治療では、冠動脈を拡げたり、また心臓の酸素需要を減らす薬
を使います。また、血液の固まる力を抑えるためワーファリンやアスピリンを
使います。

最近ではPTCAといって、カテーテルという細長い管を冠動脈に入れ、狭窄部を
風船で押し拡げる治療をします。また金属製のコイルを狭窄部に留置する方法
も開発され、ステントと呼ばれています。外科的には以前より冠動脈バイパス
術がおこなわれています。これに対し、冠攣縮性狭心症は主に冠動脈を拡げる
薬が使われます。

もし急性心筋梗塞が疑われたら、カテーテル検査のできる病院に患者を運び、
一刻も早く冠動脈血流を再開することです。ゴールデンタイムは6時間といわ
れます。

狭心症と心筋梗塞の予防で大切なことは動脈硬化を防ぐことです。動脈硬化の
原因は高血圧や糖尿病、高脂血症があり、これらは近年、生活習慣病と呼ばれ
ています。

さらに大切なことはタバコを止めることです。また、毎日20分くらいは散歩
をしましょう。食事は腹八分目を守り、緑黄色野菜をすすんでとるようにした
いものです。


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