「末梢性顔面神経麻痺」

青森労災病院 若林 茂春


1.末梢性顔面神経麻痺ってどんな病気?
・子供から老人まであらゆる年齢層におこります。
・急に発症します。朝起きて鏡を見たら、顔が曲がっていたと、びっくりし
て医療機関を訪れることが多いようです。

2.原因は?
・ウィルス感染によることが多く、顔面神経麻痺の70%近くが“ベル麻痺”
というものです。帯状庖疹ウィルスによるハント症候群も15%程度あり、こ
の2つの原因が顔面神経麻痺のほとんどを占めます。
・たまに、耳の炎症、頭や顔のけが、脳腫瘍でもおこります。

3.どのような症状が出て、どのように経過するのですか?
・症状;顔の筋肉の運動がおかされます。顔の表情をつくる、口を開ける、
目を閉じる、口笛を吹くことなどができなくなります。味覚がおかされるこ
ともあります。ハント症候群では耳介小水庖、耳鳴、難聴、めまいを伴いま
す。耳後部〜後頚部の鈍痛や違和感のあることがあります。
・経過;べル麻痺の70%程度、ハント症候群の30%は自然治癒し、なおる
ことが多いですが、顔のこわばり、顔面痙攣、罹患側の萎縮などの後遺症を
残すこともあります。

4.病院ではどんな検査をするのですか?
・CTやMRIなどで頭蓋内病変の有無を検索します。採血してウィルス抗
体価を測定しますが、糖尿病などの疾患がないかも検査します。その他に、
中耳の疾患の有無や、聴力、味覚、アブミ骨筋反射、electroneurography
の検査などを行います。

5,治療は?
・基本は薬による治療です。ステロイドホルモン、向神経ビタミン剤、循環
改善薬などを投与します。抗ウィルス薬も注目されており、早期から投与す
ると治療成績が上がります。
・麻酔科では星状神経節ブロックを併せておこないます。
・マッサージや電気剌激などの理学療法も行われます。
・国内の特定の施設に限定されますが、神経減荷術(顔面神経管開放、神経
鞘腫切開)が行われることもあります。


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