「風邪の漢方治療」
類家内科クリニック 及川 広則
Q:これからの季節よく風邪を引きます。漢方での治療はどのようなものでし
ようか。
A:風邪はウイルスでおきますが、普通の風邪(感冒)とインフルエンザ(流
感)とがあります。漢方薬は風邪の症状を抑えるだけでなく、体の抵抗力を強
めて風邪を根本から治します。治療する場合は、風邪の引き始めなのか、2,
3日たった状態なのか、もっとこじらせてしまっているのかという、風邪の症
状や経過を良く知ることが必要です。
風邪の引き始めで、体力が普通の方で、寒気がして肩が凝り、汗が出ない方に
は、葛根湯。寒気、関節痛が有り汗が出ない方には麻黄湯、咳、鼻水があれば
小青竜湯。体力の無い方で、悪寒がして気分が優れず微熱がある方には麻黄ぶ
し細辛湯を使います。
風部を引いてから数日経過して、体力が普通で吐き気、熱の変動があれば柴湖
桂枝湯。体力が無くて下痢、フラフラするような方には真武湯を使います。風
邪が長引いて、吐き気、微熱、咳などが続くときは参蘇飲。咳が続いて気分が
優れない時は竹如温胆湯。痰の切れない咳き込みが続くときは麦門冬湯を使い
ます。
Q:できれば、冷え症と一緒に治療したいのですが。
A;漢方は冷え性だけでなく、体力が無くて年中風邪気味の方にも良く使われ
、続けることで冷え性が良くなったり、風邪を引きにくい体質になったりしま
す。 い
つもだるく食欲の無い方には補中益気湯。体力が無く胃腸が弱く、手足が冷え
る方には真武湯。冷え性で咳、鼻水のある方には苓甘姜味辛夏仁湯がつかわれ
ます。
Q;一度処方してもらった風邪薬を、次にまた風邪を引いたときに飲むことは
できますか。
A:漢方薬は症状に合わせて使いますので、難しいと思いますが、風邪の引き
始めに使う葛根湯や麻黄ぶし細辛湯。胃腸の弱い方の香蘇散。体力が無べて汗
ばみやすい方の桂枝湯などは常備しておいて、風邪気味になったらすぐ服用す
ることは、お勧めします。
Q;自分以外の家族等に風邪薬を分けてやることは出来るのでしようか。
A:漢方薬はその方の体力と症状に合わせて使いますので、合わない場合も有
りますのでお止めになった方が宜しいでしょう。