「ペインクリニック(麻酔外来)〜帯状湿疹について」
八戸赤十字病院 金野 光雄
「ペインクリニック(PC)って何?」よく質問される。麻酔科の医者の仕事
は、主に手術の際の全身麻酔の管理であるが、40年前より麻酔科の有志が“
痛みの治療”を専門とする集団を形成した。それがペインクリニシャンである。
頭の先からつま先までどんな痛みにも対応する。主な対象疾患は、帯状疱疹
(後神経)痛、顔面神経麻痺、三叉神経痛、腰下神経痛、頭痛、肩こり、癌性
疼痛(緩和医療)などである。
従来の治療法は、薬物治療と手術療法があったが、神経ブロック療法はこの中
間に位置し、まさに第3の治療法といってよい。
ペインクリニックにおける診療の主体は、この神経ブロック療法である。
今回は、帯状疱疹についてお話しする。
帯状疱疹ウィルスによって発症するこの皮膚病は、実は神経の病気である。子
どもの頃、水痘にかかったかたの知覚神経節には、帯状疱疹ウィルスが死なな
いで、潜伏している。大人になって、免疫機能が低下したとき(例えば、風邪
をひいた、ストレスが多かった)に、発症する。年齢的には20歳台と60歳
台にピ−クがある。
症状は帯状の発疹、紅斑、水疱それと障害神経節領域の痛み。皮膚症状には、
皮膚科的処置を行う。痛みに対しては、鎮痛剤を処方するが、できるだけ早期
に神経ブロックを施行したほうが良い。特に、高齢者は気をつけたほうが良い。
なぜなら、高齢者ほど痛みが後々まで残ってしまうことがある。帯状疱疹が治
っても疼痛(ヒリヒリ、ビリビリ、ズキズキ)が存在する病気、それを帯状疱
疹後神経痛という。
この病気に対する確立された治療法は今のところない。
ですから神経痛予防には積極的な治療が必要である。特に“痛みの悪循環”を
断つ神経ブロックが有効である。