「クラミジアと言う病気を御存知ですか?」
青森労災病院 片桐清一
質問:クラミジアと言う病気を御存知ですか?
最近、若い人の間に、クラミジアと言う、セックスでうつる病気が、大流行し
ています。
性感染症、性交渉でうつる病気を、性感染症といます。昔は、性病と言って
おりました。梅毒、淋病などは、有名です。最近では、エイズが、最もよく知
られております。
エイズの前にかかる性感染症の、クラミジアと言う、病気が、ひそかに流行
しております。
質問:クラミジアって、どんな病気ですか?
クラミジアのように、性交渉でうつる病気を、性感染症と言います。
まず、性感染症について、の説明から始めましょう。
英語では、sexually transmitted diseases と言いまして、その頭文字をとっ
て、STDと言います。、
性感染症には、先程お話した、梅毒、淋病、エイズのほかに、トリコモナス
カンジダ、ヘルペス、コンジローマ,B型肝炎、毛ジラミ、などがあります。
質問:性感染症(STD)には。どんなものがありますか?
答え:性交渉(セックす)でうつる病気を、性感染症と言います。
昔は、性病と言いました。
例外的に、血液製剤や、輸血で感染する場合もあります。
しかし、原則として、セックスでうつります。セックスをしなければ、感染し
ません。
処女と、童貞で性交渉を始めて、その後一生涯、性交渉の相手を変えなければ、
何回セックスをしても、感染することはありません。
エイズもセックスでうつる性感染症です。
特にエイズは、感染力は弱い感染症です。かなり熱心に、しっかりと、粘膜と
粘膜とをこすり合わせない限り、感染しません。
感染症と入っても、性感染症は、感染経路が限られています。セックスをしな
ければ、うつりません。性交渉の相手を限定すれば、うつりません。
感染経路さえしっかりと正確に理解していれば、感染予防の方法は簡単です。
性感染症には、様々な種類があります。
梅毒、淋病、トリコモナス、クラミジア、コンジローマ、エイズ、毛ジラミ、
B型肝炎、C型肝炎などか知られています。
質問:クラミジアについて、知りたい
回答:性感染症の中で、最も多く流行しているものが、クラミジアです。
クラミジア・トラコマティスと言う細菌で感染する性感染症です。
クラミジア・トラコマティスに感染すると、おしっこが近くなったり、
おしっこをする時に痛みを感じたりの、膀胱炎の症状を認めます。
女性の場合、おりものが多くなることもあります。
しかし、症状は、非常に軽く、無症状の人も少なくありません。
ただ、女性の場合には、クラミジア感染は、不妊症、子宮外妊娠、早産の原
因になりやすい、産婦人科的には、非常に厄介な病気です。
そう云うクラミジアと言う性感染症が、八戸界隈でも、10代の若者を中心に、
かなりの頻度で蔓延しております。
労災病院に、分娩を目的に受診する普通の奥様の集計では、4ー5%の方が、
子宮の出入り口に、クラミジアの、病原菌を持っております。
年齢別に集計すると、19歳以下の妊婦の場合には、25%前後の方が、クラ
ミジア陽性です。
さらには、人工妊娠中絶を希望して受診する女子高校生の場合には、40ー
50%の方が、クラミジアに感染しているようです。
しかし、クラミジア感染と診断された彼女らの大部分は、無症状で、クラミジ
ア感染に気が付いていません。
私共が、「クラミジアに感染してますね」と説明すると、「クラミジアって
何ですか?」と聞き返される場合が多いようです。
クラミジアに感染していても、診断が付きさえすれば、飲み薬で、比較的簡
単に、治療することが出来ます。
しかし、クラミジア感染は、無症状であるために、自分が感染していること
に気が付かないで、セックスの相手に、感染させてしまっている場合が多いよ
うです。
エイズは、クラミジアより、感染力は弱いと言われております。しかし、時
々パートナーを取りかえ、コンドームを使わない、そう云う無防備な性交渉を
していると、エイズも、クラミジアと同様に、セックスのパートナーに感染さ
せてしまう危険性があります。
ことに、クラミジアに感染している局所は、エイズヴィールスに、非常に感
染し易くなります。いろいろな学説がありますが、5倍から10倍、又はそれ
以上に、感染し易くなると、言われております。
無防備な性交渉を続けていると、クラミジアの次に、エイズにかかってしま
う危険性があることを、覚えておいて欲しいものです。
知ってるかい、エイズの前に、クラミジア…..です。
みんなで作ろう、友達の輪、作っちゃならない、クラミジアの輪、
エイズを知れば、エイズにならない。
クラミジアを知れば、クラミジアに、ならない。
質問:具体的には、どんな形で、産婦人科に受診するのですか?
回答:実際の症例について、お話しましょう。
2年ほど前の、高校3年生、少女A、17歳。産婦人科初診時の診断は、妊
娠6週。人工妊娠中絶希望、で来院しました。
中絶前の検査で、子宮の出入り口のクラミジア検査は陽性。
本人と、母親に、「妊娠です、クラミジアにもかかっていますね」と説明し
たら、「クラミジアって、何ですか?」と、聞き返されました。
「相手の男性も、治療が必要です、二人で薬を飲みましょう」と、説明を開
始しました。
ところが、この少女には、性交渉の相手の少年が2名いました。2名の少年も、
各々が、複数の少女との性交渉がありました。
結局、10分程度の問診で、7ー8名の男女高校生を、まとめて、グループで
治療しなければならない事が分かりました。
もう治療では間に合わない、「治療よりは、予防だ」と、叫びながら、クラミ
ジアと、戦っております。