「ワクチンの話1」
ワクチンとは、感染症や伝染病などを引き起こす細菌やウイルスの一部を精
製・加工して、毒性を弱めたものです。ワクチンを、まだその病気に感染した
経験のない人の体内に入れて、その細菌やウイルスに感染しないように免疫機
能を強化するのが予防接種です。
赤ちゃんは病気に対する抵抗力、つまり免疫機構が未発達です。特に生後6
カ月ぐらいからは、お母さんのへその緒を通じてもらった免疫(移行抗体)が
なくなってしまうため、風邪をひいたり、熱を出したりして、いろいろな感染
症にかかる機会が増えます。
2歳ぐらいまでこの状態が続き、6歳ぐらいになると、やっと大人と同じく
らいの免疫力を身に付けることができるようになるのです。
菌やウイルスに感染することで、免疫機能は強化されるのですが、菌やウイ
ルスの中には、命を脅かすほど強力なものもあり、深刻な後遺症や合併症が起
こったり、時には命を落とすことさえあるのです。
あらかじめ、危険な菌やウイルスのワクチンを接種することは、小さな子ど
もたちの大切な命を、感染から守ることになるのです。
しかし、すべての感染症がワクチンで予防できるわけではありません。ワク
チンで予防できる病気はVPD(Vaccine Preventable
Disease)と呼ばれ、表のように、たくさんあります。
麻疹(はしか)や百日せきなどは、年齢が小さいほど重症化しやすく、肺炎
や脳炎になり、命の危険を伴うこともあります。おたふくかぜは難聴になって
しまう危険性もあります。
さらに、肺炎球菌やインフルエンザ菌b型(ヒブ)感染症では、髄膜炎が起
こることもあり、脳の萎縮(いしゅく)、水頭症などの重大な後遺症が残るこ
とも十分考えられます。
子どもたちがこのような病気にかかってしまうと当然、病院に通うことにな
り、場合によっては入院が必要になることも考えられ、保護者や家族の負担は
増えます。
「あのとき受けておけばこんなことにならなかった」と後悔しないためにも、
しっかりワクチンを接種しておきましょう。