「股関節が痛くなったらA」
【変形性股関節症の原因】
日本人の場合、生まれつき股関節が脱臼している「先天性股関節脱臼」、臼
蓋(きゅうがい)が浅い状態である「臼蓋形成不全」(写真)など二次性変形性
股関節症が8割と大多数を占めています。
その他は、けがの後遺症、小児期の他の股関節疾患などが挙げられます。欧
米人の場合は原因が不明である一次性変形性股関節症が8割と日本と大きく原
因が異なっています。
では、なぜ日本人には臼蓋形成不全が多いのでしょうか? 青森県内で臼蓋
形成不全の方がある地区に多かったり、母親と娘さん親子を治療したりと、遺
伝的な要素があることは感じていました。
現在では遺伝子の解析が進み、日本人のある染色体に臼蓋形成不全の原因で
ある遺伝子が存在していることが判明してきています。どうやら日本の場合で
は、遺伝的な要素が変形性股関節症の原因となるようです。
【変形性股関節症の症状】
では、変形性股関節症ではどのような症状が出るのでしょうか? 股関節の
痛みのみではないことに、診断の難しさがあります。典型的な例では股関節痛、
股関節の動きが悪くなる、歩行困難などが挙げられます。
歩き始めには痛みが出るが、少し歩いてしまうと疼痛(とうつう)がなくな
ることも特徴的な初期の症状です。また、中には股関節の症状が全くないのに、
膝が痛い、腰が痛いと外来受診される方の中に、その痛みの原因が変形性股関
節症であったということもあります。
股関節は体の中でも要の関節であるので、脊椎、下肢に大きな影響を与える
ためと考えられます。腰、膝が痛くなったときには念のため股関節も調べるこ
とが必要です。さらに進行すると、夜に疼痛で目が覚める、疼痛のため眠れな
いなどの症状が出て、鎮痛剤も効果がなくなってきます。
次回は変形性股関節症に対する治療、「骨切り術」について掲載いたします。
写真の説明:臼蓋形成不全のレントゲン像。臼蓋が浅く、骨頭の半分しか被っ
ていない